1. 読書感想文講評 / 倉西誠一

読書感想文講評 / 倉西誠一

「マックスむらい」を書くということ

最初に。今回の対象図書「マックスむらい、村井智建を語る。」の構成・文担当の僕として、御応募いただいたみなさまに「ありがとうございました」と、心から御礼申し上げます。まず一回、すべて読みました、もちろん。自分でも不思議なくらい、ときどきつっこんでみたり(失礼!)、笑ったり、挙句、ちょっとだけ泣きそうになってみたりしました。

これまでも雑誌になにか書いたり、本を出したりしてきたので、自分の文章についての御感想をいただくことはあったのですが、これほど強く感情を揺さぶられたことはありませんでした。選考のために、もう一回、すべて読み返したときも、やっぱり同じでした。さすがに賞を絞り込むために三回目に読み返したときは、そこまでではなかったですが。

それほど、みなさんのマックスむらいへの愛情が強いのだと思いますし、その愛を一身に受け止めてなお、「サンキュー! まだまだ楽しもうぜ!」と大声で返せる強靭さが、マックスむらいにはあるのだとも思いました。ちょっと感動的。

一方、見方を変えると、このことには文章、テキストというものが持つ特質が表れてもいます。

この本の、1つ1つの文字の連なりは僕がキーボードを叩いて入力したものですが、その連なりが表現しているのは僕ではなくマックスむらい、村井智建君です。この2つ、書く技術と書くことで表現されるものというのは、別ものなんですね。たとえばみなさんも、メールでもなんでもいいんですが、書き出してみたら最初に思ってたのとは違う内容になっちゃった……という経験があるんじゃないでしょうか? それです。文章を書くために手を動かしていることと、頭の中にある内容、表現したいことは別なんです。そこをどれだけ一致させられるか、あるいはあえて不一致をめざすのか、その一文字一文字に込められた葛藤のようなものが、文章を書くということのおもしろさだと僕は考えています。

この本を書いているとき、僕はずうっとかたわらにiPadを置いて、マックスむらいのニコ生をタイムシフトで見たり、YouTubeの動画を流したりしていました。特徴的な口調や語りの調子を、自分の身体、キーボードを叩く手に覚えさせるためです。頭の中には「マックスむらい、村井智建の青春」がつまっていましたから、技術の部分は手で覚えるしかなかったんですね。

その作業が終わり、本が出て、頭の中はリセットされたんですが、不思議なもので、手はいまもマックスむらいを覚えてるんです。たぶんいま、この瞬間にも、あの本の続きが書き出せるでしょう、やんないけどw そして今回、みなさんがマックスむらいについて書いてくださったものを読ませていただきました。ここは申し訳ない気もするのですが、そんな僕だから、半分は書いているみなさんになることができて、特権的に、お寄せいただいた文章を楽しめたのだと思います。くり返しになりますが、本当にありがとうございました。

さて。

長々と書かせていただきましたが、今回、僕が審査員として担当させていただいたのも、この視点です。マックスむらい感は、もう一人の審査員である宮下君の方がちゃんと評価できるでしょうから、僕はむしろ書いているみなさんに着目させていただきました。半分、みなさんになりながら。頭の中はみなさん、「マックスむらいが大好きだ!」というお気持ちでいっぱいでしょうから、ではそれを表現するのに、どれだけその方自身の思いや経験がにじみ出た文章になっているか、そこを僕は読みました。

わかりやすく言えば、「マックスむらいを書くことで、どれだけ自分のことが書けているか」ということです、こんな長々と書かなくても……。

その点で、超絶優秀賞を受賞された「もっちー」さんの感想文は抜群でした。冒頭の短い文、文章で、どれだけ自分がこの本をほしかったのかということが十分すぎるほど伝わってきます。マックスむらいでなくてもなんでもいいのですが、なにかを求める気持ちの強さを事実の積み重ねで書く、表現するというのは、実は案外、バランスをとるのが難しいことなんです。そこをさらっとやっちゃってるのは、もしかすると「もっちー」さんが小学生だからかな? とも思うのですが、ぜひ、こういう感受性、素直な表現力は大事にしていってもらいたいと思います。

小学生の部で部門賞に選ばれた「ゆう☆き」さん、中学生の部の「きょうすけ」さんも、御自分とマックスむらいを重ねてみる視点の素直さが、よく表現されていました。こういうのは、50歳手前の僕には書けないです(一週間くらいトレーニングすればなんとか……)。「ゆう☆き」さんは「カラスの仕返しが怖い」とか、「きょうすけ」さんは「村井さんの描いた牛の絵が水色なのは白いところを残さないためだと思います」とか、こういう文章には憧れますね、ちょっとくやしい。

高校・予備校の部の「koushi」さんは、各エピソードの最後に「自分だったらどうしただろうと想像した」と書かれています。これも僕が長々と書いてきたことに通じます。鏡のようになにかを使って自分を知る。ちょっとおっさんくさいこと言いますが、この視点はぜひ、大人になっても持ち続けてください。社会に出てから、きっと役に立つときがあると思います。

大学・専門学校の部の「makkii」さんは、さすがいいところに気がついていました。「自分がやりたいことありきの動画ではなく、あくまでも、仕事として動画作りをやっているように思えてきました」というのは、マックスむらいの本質の1つに到達しています。でもねw もちろんマックスむらいはそれだけじゃない。「makkii」さんには、もうちょっと長い感想文を書いてみてもらいたかったです。

社会人の部の「まゆ」さん。お年のわりにはというと大変失礼ながら(ごめんなさい)、書かれた文章のみずみずしさは、小学生の部の「もっちー」さんに匹敵するものがありました。また、あの本のラスト、村井君のお母様、メグミさんの言葉について触れていただいたのも、構成・文担当としてはうれしかったです。実は、あのお言葉をラストに置くということは、本を書き出す前から決まっていたんです。作業としては、僕はメグミさんの言葉というゴールに向かって書いていたとも言えます。

むらい賞の「こーすけ。」さんも、御自分の経験を素直に書きながら、きっちりマックスむらい感を表現できていたと思います。僕的には、すごくうれしい感想文でした。「Morry」さん、第4章のタイトルはたぶん違いますよw でも、第5章のタイトルはなんでしょうね? その疑問は僕にも解けません。「いまい」さんの視点は独特で笑わせてもらいましたが、これ、読書感想文? というところが惜しかったですw あのネタを読書感想文のオチにできていたら、もしかすると超絶優秀賞だったかもですね。

以上、受賞されたみなさん、おめでとうございました。そして、惜しくも選にもれたみなさんも、本当にありがとうございました。

最後になりますが、いただいた感想文の中にいくつか、「このコンクールをきっかけに本を読むようになった」「感想文なんて書いたことがなかったけど」と書かれているものもありました。それも僕にとってはとてもうれしいことでした。出版社勤務だからということもありますが、それ以上に、みなさんが文章、テキストというもののおもしろさに気づいてくださったのなら幸いです。ぜひ、これをきっかけに「文章を読む、書く」ということを、意識的に続けていただければと思います。

倉西誠一

倉西誠一 (Twitter)
KADOKAWA第7編集局局長、AppBank社外取締役、「マックスむらい、村井智建を語る。」構成・文担当

読書感想文コンクール 入賞者

超絶優秀賞:1名

もっちー様(小学生の部)

優秀賞:各部門1名

ゆう☆き様(小学生の部)
きょうすけ様(中学生の部)
koushi様(高校・予備校の部)
makkii様(大学・専門学校の部)
まゆ様(社会人の部)

むらい賞:3名

こーすけ。様(中学生の部)
Morry様(高校・予備校の部)
いまい様(社会人の部)

→全ての応募作品を読む

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