
DACメーカーとして有名なAstell&Kern(アステルアンドケルン)から初の完全ワイヤレスイヤホン「Astell&Kern AK UW100」がつい先日発売されました。
このイヤホン、すごいのがDACを別途積んでいるんですよね。ほとんどすべてのBluetoothイヤホンって、BluetoothチップにDACを搭載してるんですけど、「Astell&Kern AK UW100」はBluetoothチップとは別に32bitのDACを独立して積んでいます。
簡単にいうと、音楽データをBluetoothで受け取り、DACに流してデジタルデータをアナログデータに変換するという手間のかかる工程を得ているからこそ、音質の再現性が高く、結果的に高音質って言われてるんです。
実際聴いてみて、バンドは生っぽく、ボーカルは目の前で歌っているようなライブ感を味わえます。音の粒っていうか、音の粒子が際立っていて、解像感は完全ワイヤレスイヤホンの中でも類を見ないハイレベル。
「息を呑む」って表現がしっくりくるような、うわぁ~染みるぅ~って感じの超高音質。着色されすぎる最近のイヤホン音質とは別物と考えて良いでしょう。音質を求める方へ激推ししたいですね。
そのかわりというか、音の損傷を限りなく減らすべく、アクティブノイズキャンセリング機能は排除されてます。今では人気の機能なのに、それを犠牲にしてでも音にこだわったってことでしょう。
振り切っている感じが潔(いさぎよ)いというか、カッコいい。さっそくレビューにいきましょう。
今回紹介する商品はこちら
[目次]
製品仕様はこちら。
- 製品名:Astell&Kern AK UW100
- JAN:8809755501983
- 型番:IRV-AK-UW100-BLK
- ブランド:Astell&Kern(アステルアンドケルン)
- イヤーピース形状:カナル型
- 重さ(約):イヤホン7g、充電ケース65g
- チップセット:QCC 5141
- ドライバー:Knowles社製バランスド・アーマチュア・ドライバー
- ドライバー構成:シングルフルレンジ
- 搭載DAC:AKM AK4332ECB
- Bluetooth規格:バージョン5.2
- コーデック:SBC、AAC、aptX Adaptive
- プロファイル:HFP、A2DP、AVRCP
- 音圧レベル(SPL):94dB(1mW@1kHz)
- ボタン操作:タッチパネル(静電容量式タッチコントロール)
- センサー:近接センサー
- マイク:デュアルマイク(片耳に2基搭載)
- 再生時間(約):イヤホン単体6時間、充電ケース併用で合計24時間
- USBポート:USB-C
- ワイヤレス充電:対応
- アクティブノイズキャンセリング:非対応
- 外音取り込み機能:対応
- マルチポイント接続:対応
- アプリ:対応(AK TWS ※iOS、Android)
- 生産国:韓国
- 同梱物:「Astell&Kern AK UW100」本体、充電ケース、シリコンイヤーピース(XS・S・M・L・XLの5サイズ)、USB-Cケーブル
- メーカー保証:1年
外観、再生時間、タッチパネル操作をチェック

ケースの外観は上部のフタ部分に幾何学的なデザインが施され、光の当たる角度によって光と影ができる面が共存します。
イヤホン筐体の背中(ハウジング部分)も同じようなデザイン。
ギリシャ語で「Astell」は「星」、ドイツ語で「Kern」は「中心」を意味する組み合わせがブランド名の「Astell&Kern(アステルアンドケルン)」。

三角形の頂点に集まる点が星の中心ということで、その中心部分から星たちのきらめきが散っていくようなデザインが素敵ですね。
全体としてマットなコーティングなので、指紋が目立ちにくいのは使いやすいポイントです。

片手に乗るくらいのケースは、持ってみると結構分厚いのが気になります。ポケットに入れるとズボンがボコッとしてしまいますね。タイトなズボンとか、スキニーには向かないかも。
携帯する際にはカバンやポーチに入れるのが必須でしょう。

ケース裏面が滑り止めのラバーになっていて、机に置くときには安定します。ただ、持ち歩いているとゴミが付着してしまうのがネックかな。

イヤホンを取り出します。
イヤホンを取り出そうとフタを開ける際、ひっかかりが少なく開けにくい・・。指先が乾燥している人はストレスになるかもしれません。。。

音楽再生時間は、イヤホンのみで約6時間もち、ケースをあわせると約24時間丸一日持ちます。

充電の際にはUSB-Cポートからケーブルを接続する方法、もしくはワイヤレス充電が選べます。

一般的なスマホ充電用のワイヤレス充電器に置くだけでケーブルレス充電できるのは楽ですよ。
ちなみに、イヤホンの防水性能は公表されておらず、耐水性能は期待しない方が良いでしょう。

操作に関しては、静電式のタッチパネルに触れてコントロールします。

音量調整や音楽の再生・一時停止、通話受けや外音取り込み機能など一通りの操作が可能で、タッチしたときのレスポンスも良く、快適に扱えましたね。
長時間の使用でも疲れにくく、遮音性も十分ある

イヤホン筐体は分厚い重厚感のある形をしています。ですが、耳に装着しても不思議とズッシリ感はさほど感じず、耳へ均等に荷重がかかり重さを分散してくれる印象を受けました。

ピタッと耳穴を塞(ふさ)ぎ、耳穴入り口付近を包み込むように全体を覆ってくれるイメージですね。
耳穴のみで装着しているというより、耳全体でフィットして支えているので長時間の装着でも疲れにくかったのが良いですね。

作業しながら3~4時間くらい付けっぱなしにしていても不快感はほぼありませんでした。
そして、アクティブノイズキャンセリング機能には対応していないものの、物理的に遮音するパッシブノイズキャンセリングでありながら雑音が抑えられています。
アクティブノイキャンは電子的に音を打ち消しますが、パッシブノイズキャンはよりナチュラルに音がしぼみます。特に中高域の食器が重なりあう高域や電車内のアナウンスみたいな中域の遮音に長けている感じがしますね。
外で使っていても、十分使えるレベルの遮音性能をもっていると言えます。

Bluetoothは最新バージョンの5.2に対応していて、チップはQCC5141を搭載。
無線接続は安定していて、外出中の電車内や人が集まる駅のホームなど音が途切れることはほぼありませんでした。
YouTubeなどの動画視聴においては、遅延が少ないというかほとんどノンストレスで音と映像がリンクしているように思います。
僕はiPhoneを使っているんですけど、aptX adaptiveに対応するデバイスで接続すればビット深度24bit・最大ビットレート420kbpsまでに対応します。しかも、左右同時に伝送できることから、さらに遅延を少なくできてメリットを受けられると思いますね。

マルチポイント接続にも対応していて、2台まで同時接続が可能です。iPhoneとパソコンの両方に接続していて、スムーズに切り替えができるのでテレワークにもぴったりです。
パソコンでのWeb会議に使い、すぐにiPhoneの音楽を再生させてメイン接続を切り替えられるので便利でした。
ボーカルの息遣いまでリアルに表現してくれる高音質

まずスペックのおさらいから。
コーデックはSBC・AAC・aptX Adaptiveの3種に対応。ドライバーには、Knowles(ノールズ)社のバランスドアーマチュアドライバーが1基、シングルフルレンジです。

そして独立したDACチップに、旭化成の高性能Hi-Fi 32bit DAC『AK4332』積んでいます。
アプリからイコライザーの変更も可能です。『低音強調モード』『高音強調モード』『ボーカル強調モード』『ゲームモード』の4種から好みに合わせて選択してあげてくださいね。
今回はイコライザーはいじらずに、デフォルトのまま音楽視聴しました。

視聴環境を説明します。僕は普段からiPhoneを使って音楽を聴いている関係上、あえてaptX adaptive用にプレーヤーを持ち歩くことは現実的ではありません。故に、いつも通りiPhone13Pro内のApple Musicの音源を視聴しました。

視聴してまず感じたのは、クセがなくて現場感のある細かい音だな~って。ピュアで着色のないフラットな音色。いわゆる音の一粒一粒がくっきりした高解像度な音です。
情報量が多いんですけど、聴いて疲れない自然な現場感を体感できます。

音域に分解してレビューすると、中域が綺麗に表現されていてボーカルの歌声がくっきりした聞き取りやすいイメージ。低域は電子音的にブーストした重たさはなく、ボーカルを邪魔しないスッキリ感があります。高域のシャリつきもほとんどなく、品の良い爽快感を実現しています。

見通しが良いからか、女性ボーカルのキーの高さも非常に丁寧に表現されています。頭のてっぺんから抜けるような気持ちよさがやみつきになりそう。
まるで目の前で歌っているかのような息遣いまで感じる繊細さ。良い意味でゾクッとするような歌声を楽しめますね。
4万円弱のハイエンドイヤホン相当の素晴らしいモニターライクな高音質です、間違いなく。
好みにもよりますが、僕の感覚ではボーカルメインの楽曲ならポップスやバラード、楽器の音色を重視するならロック・メタルあたりに相性が良いと思います。

音質とはちょっと外れるかもしれないんですけど、動画でフリースタイルのラップバトル聞くと、口の動きと聞こえてくる音声がすっごくリンクしているし、音質的にも声がめちゃくちゃ聞き取りやすいんですよね。
あとビートボックスとかになると、息継ぎだったり、唇を震わせて奏でる振動だったり、まじでリアルなライブ感が味わえました。
4段階の強さ調整ができるアンビエントモード

左のイヤホンをワンタップしてアンビエントモード(外音取り込み機能)を起動してみると、いわゆる環境音全体を取り込んでイヤホンから吐き出すって感じではなく、電子的に取り込んで吐き出すイメージ。
ようは、機械っぽい音に変換されて周囲の音が聞こえるようになります。

とくにエアコンや換気扇などファンの音が顕著に耳に入ってきます。あと、車内アナウンスの声も良く聞き取れるようになりましたね。

アンビエントモードに関しては、アプリから4段階の強さ調整が可能です。あってもせいぜい弱と強みたいに2段階が多いところ、4段階まで細かく調整できる点は珍しいですね。
イヤホンがしっかり耳中を塞いで密閉するからか、環境音を取り込むことにはシビアなんでしょう。
というのも、例えば外を歩いているときに使用する場合、あまりにも遮音性が高いと近づく歩行者や自転車の気配が感じにくかったりしますからね。危険を回避するという意味でも、普段の生活にマッチした外音取り込みレベルにカスタマイズして使ってくださいね。
デュアルマイクでクリアな音声通話

マイクは片耳に対して2基ずつ搭載されたデュアルマイク方式を採用。加えて、ノイズ低減をサポートするAlango社製のVCP(Voice Communication Package)が搭載されています。
的確に音声を拾い、通話の邪魔になるノイズを抑えてくれるそう。
実際に外でのハンズフリー通話だったり、パソコンでのオンラインミーティングなどさまざまな環境下で使っていて、通話性能に不満を覚えることはなかったですね。
駅前のガヤガヤするところで電話をしていても、イヤホン装着者である僕の声も相手にしっかり伝わっているようでした。
録音した自分の声を聞き返して気づきましたが、車が走る音や行き交う人の足音やざわめきもその場よりかグッと低減しているように感じましたね。

めちゃくちゃ集音性能に長けているかというと、他のイヤホンでも性能が高いモデルがあるのでそこまでですが、外での通話や屋内でのWeb会議でも不満なく使えるレベルだと言えます。
動画レビューはこちら
ライターから一言
音質を売りにする完全ワイヤレスイヤホン界で間違いなくトップクラスに音質が抜けています。中域の歌声をもともとの収録音源に近い形で再現しているように感じました。価格は高めですが、一度聴いてみれば納得のお値段だと思いますね。
今回紹介した商品はこちら
2023.03.09 16:12 更新