
カスタムIEMの雄「qdc」と、その正規代理店である「株式会社アユート」がタッグを組んだ、注目の「共同企画コンセプトモデル」が登場しました。その名は『FRONTIER(フロンティア)』。
qdcのフラッグシップシリーズ にも使われるその名を、あえて2万円以下というエントリークラスのモデルで出してきたことは、両社の並々ならぬ意気込みが伝わってきます。
しばらく使用してみたので、この製品の魅力や特徴について詳しく解説します。
こんな人におすすめ
- ボーカル曲をメインで聴く人
- 音の定位や解像度を重視する人
- 初めてのqdc、初めての本格的IEMを探している人
メリット
- シングルBA超えの良バランス
- カスタム級のフィット感
- 高コスパと汎用2pin(拡張性)
- 高級感のあるデザイン
デメリット
- 重低音の「圧」は少し弱め
1分でわかる!「qdc FRONTIER」特徴・魅力


メーカー提供画像
qdcとアユートが送り出した『FRONTIER』は、「シングルBAは低音が弱い」という常識を見事に覆した意欲作です。最大の魅力は、qdc独自技術が可能にした低音。シングルBAとは思えないほど深く、かつスピード感のある質の高いサウンドを鳴らします。
もちろん、シングルBAの真骨頂である中高域の美しさは圧巻。音がズレることなく鼓膜に届くため、ボーカルの息遣いまで驚くほど生々しく鳴らしてくれます。
又、SUPERIOR同様、カスタムIEMメーカーならではの、耳に吸い付くような完璧な装着感も特筆すべき点で、高い完成度を誇る傑作と言えるでしょう。
このクオリティのイヤホンを2万円以下で買えるのは驚きです。
●商品仕様はこちら:
| 商品名 | FRONTIER |
|---|---|
| 形式 | 密閉型 |
| ドライバー | BA型(カスタマイズドBAシングルフルレンジ) |
| ドライバー数 | 1BA / 1ドライバー(片側) |
| 周波数特性 | 10 – 30,000 Hz |
| 入力感度 | 106 dB SPL/mW |
| 外音遮断 | 26dB |
| インピーダンス | 52Ω |
| ケーブル | 高純度無酸素銅4芯ケーブル(約120cm)※ブラックカラーPVC被膜使用。 コネクター:カスタムIEM 2pin(0.78mm)、プラグ(L字モールド):3.5mm3極 |
| 付属品 | FRONTIER Cable 3.5mm3極アンバランス(L字)、 qdcTips Soft-fitシリコンイヤーピース:3ペア(S/M/L)、 フォームタイプイヤーピース:3ペア(S/M/L)、 ケーブルクリップ、クリーニングツール、オリジナルキャリングケース |
| 生産国 | 中国 |
| メーカー保証 | 本体1年 / ケーブル・付属品6ヶ月 |
| カラー |
Aquamarine |
デザインと装着感:qdcが誇る「耳への芸術」

新デザイン「トランスルーセント・ミラー・グラデーション」: フェイスプレートには、光の角度によって表情を変える美しいハーフミラー調のデザインを採用。内部がわずかに透けて見える様子は、qdcの技術的な自信を感じさせます。カラーは「Aquamarine(アクアマリン)」や「Emerald(エメラルド)」など、宝石のような透明感が魅力です。

カスタムIEMで培った膨大な耳型のデータを基に設計されたシェルは、ユニバーサルモデルとは思えないほど耳に吸い付くようにフィットします。軽量コンパクトな筐体と相まって、長時間のリスニングでも疲れ知らずの快適な装着感を実現しています。
サウンドレビュー:シングルBAの常識を覆す音響技術

qdcが本機のためにカスタマイズしたフルレンジ・シングルBAドライバーが1基のみ。しかし、その音を聴けば「本当にシングルBAか?」と耳を疑うことになるでしょう。
その秘密は、qdc独自の「リアキャビティ・マイクロホール」技術にあります。BAドライバーの背面に設けられた微細な空気孔(ホール)が音響的な調整弁として機能し、これまでのシングルBAの弱点とされてきた低域の表現力を劇的に向上させています。

高域
BAらしい非常に高い解像度と、シャープなアタック感が特徴です。シンバルのきらめきや弦楽器の音を繊細に鳴らします。しかし、決して刺さるような刺激的な音ではなく、絶妙なコントロールによってクリアさと聴き疲れのなさを両立しています。
中域
シングルBAドライバーの最大のメリットである「音の繋がりの滑らかさ」が最も発揮される帯域です。ボーカルは非常に近く、生々しい息遣いまで感じ取れます。音の定位が極めて正確で、ボーカルや楽器が「そこにある」かのようなリアリティは圧巻です。
低域
シングルBAとは思えないほど深く、量感のある低音を実現しています。ダイナミックドライバーのようなパワフルさとまではいきませんが、ベースラインの輪郭は明確で、リズムを刻むアタック感(スピード感)はBAならでは。従来の「シングルBA=低音が弱い」という常識を完全に覆す、質の高い低音です。
リケーブルで「化ける」ポテンシャル

『FRONTIER』は、あえてqdc独自の埋め込み型コネクタではなく、互換性の高い汎用カスタムIEM 2pin(0.78mm)を採用しています。
標準のOFC(無酸素銅)ケーブルでも十分なクオリティですが、バランス接続に対応したケーブルや、銀線などの別素材のケーブルにリケーブルすることで、音場がさらに広がり、解像度が一層向上するポテンシャルを秘めています。この「育てる楽しみ」こそが、本機の真の魅力かもしれません。
ライターからひと言
エントリークラスの価格でありながら、その音質とビルドクオリティは完全にミドルクラス以上。『FRONTIER』は、今後のユニバーサルIEM市場における新たなスタンダードとなる可能性を秘めた、必聴のモデルです。
こんな人におすすめ
- ボーカル曲をメインで聴く人
- 音の定位や解像度を重視する人
- 初めてのqdc、初めての本格的IEMを探している人
メリット
- シングルBA超えの良バランス
- カスタム級のフィット感
- 高コスパと汎用2pin(拡張性)
- 高級感のあるデザイン
デメリット
- 重低音の「圧」は少し弱め

